アーユルヴェーダは人類の起源と同じくらい古くから存在しています。アーユルヴェーダは永遠の科学であり、始めも終わりもありません。特定の国、宗教、文明に属するものではなく、歴史上の特定の年代に属するものでもありません。アーユルヴェーダは次の理由により永遠の科学と考えられています。

  • アーユルヴェーダには始めがない。
  • アーユルヴェーダは自然本来の事象を扱う。
  • そうした自然の顕現は永遠である。

アーユルヴェーダの古代文献には、その起源は紀元前6千年頃かそれ以前に遡ると記述されています。それ以前は口伝だったので、歴史学者は文字として残されるようになった紀元前6千年頃をアーユルヴェーダの起源と考えています。アーユルヴェーダは「アタルヴァ・ヴェーダ」の補足と考えられます。

医学01神話ではアーユルヴェーダは神様から伝えられたと考えられています。アーユルヴェーダのなかに3つの系譜ができ、時代の変遷を経てアーユルヴェーダの古典聖典と言われる『チャラカ・サムヒター』が編み出され、小児科を扱う『カシュヤパ・サムヒター』、外科を扱う『シュシュルタ・サムヒター』が編纂されました。シュシュルタは歴史上はじめてプラスチックを使った整形外科を発明した医者と言われています。さらにシュシュルタは、糖尿病には遺伝性と食事の摂取に問題がある2種類があることを明示した初めての医者と言われています。インスリン分泌に問題がある遺伝性糖尿病は今日ではよく知られていますが、チャラカも遺伝性糖尿病について記述しており、治癒の困難さについて述べています。

アーユルヴェーダ主要8部門

アーユルヴェーダはその起源から一貫して医学として発達してきました。アーユルヴェーダは完全な医学であり、さまざまな医学領域を扱う独自の部門を発展させてきました。全部で8部門あり、生活の全ての側面、さまざまな病気や問題、これらに関する治療法を網羅しています。この8部門があるからこそ、すべての人が癒しの科学であるアーユルヴェーダの恩恵を受けることができると古典教科書に述べられています。階級や住む場所の違いに関係なく、すべての人がアーユルヴェーダの知識を活かして健康で幸せな生活を営むことができます。

以下がアーユルヴェーダの8部門です。

  • カーヤ・チキツァー:内科
  • シャーラーキヤ・タントラ:鎖骨から上の専門科(耳、鼻、喉、目、口の病気)
  • シャルヤ・タントラ:外科学
  • アガド・タントラ:毒物学
  • ブータ・ヴィディヤー:鬼神学(心理学に関係する病気や悪魔にとりつかれたような病気を扱う)
  • カウマーラブルティヤ・タントラ:小児科学
  • ラサーヤナ:強壮学(若返りの治療)
  • ヴァージーカラーナ:強精学(性科学)

世界に広がっていたアーユルヴェーダ

医学02アーユルヴェーダはブッダの時代に、確立した医学体系として世界各地に伝播していたと考えられます。ドイツのいくつかの図書館には手書きのアーユルヴェーダ教本が400冊近く保管されています。パリの図書館にもアーユルヴェーダを含めた手書きのヴェーダ文献が数多く所蔵されています。イギリスもしかりです。ナチュロパシー、ホメオパシー、灸、ユナニ医学などはアーユルヴェーダから生まれた療法です。しかし、イギリス統治下のインドにおいてアーユルヴェーダが抑圧されるのに伴いその関係は薄れ、それぞれが独立した医療体系として独自の道を歩むようになりました。アーユルヴェーダの復活が始まったのは19世紀の終わり頃からです。現在は世界各地でアーユルヴェーダが注目されるようになりました。

インドにおけるアーユルヴェーダ教育体系

インドにおいてアーユルヴェーダは正式な伝統医療体系の一つです。2003年にはアーユルヴェーダを含む伝統医療とヨガを統括する「アーユルヴェーダ・ヨガ・ナチュロパシー、ユナニ、シッダ、ホメオパシー省(AYUSH)」が設置されました。2014年、ナレンドラ・モディ氏が首相に就任すると、ヨガとアーユルヴェーダを世界に広めることを目的に「ヨガ&アーユルヴェーダ省」が新設されました。

インドには国立、公立、私立のアーユルヴェーダ大学が約300校あります。アーユルヴェーダ単科大学もあれば総合大学の学部として設置されているものもあります。5年半の修業年限を経てBachelor of Ayurvedic Medicine and Surgery(BAMS)の学位が与えられます。アーユルヴェーダの大学院コースもあります。

伝統医療としてのアーユルヴェーダを認めている世界保健機関

アーユルヴェーダは伝統医療として世界保健機関(WHO)から認められています。WHOは、アーユルヴェーダ専門家(プラクティショナー)の標準研修についても分析を行っています。世界にはアーユルヴェーダや中医学を始めとする伝統医療がさまざまあり、それらと西洋型医療とを組み合わせる重要性を謳っています。